筋トレを初めてから3年目になります。
同時に栄養学について勉強を始めました。
効率よく筋肉を増やすために食事を勉強しようと考えたからです。
そうすると思った以上に「栄養とはなんぞや」ということを考えさせられました。
薬剤師としても患者さんから食事の相談を受けることが多いです。
実際栄養士がいれば細かく話ができるのでしょうが、栄養士って病院に多いイメージです。
医師に会いたければ病院やクリニックへ向かう
薬剤師に会いたければ薬局やドラッグストアに向かう
栄養士に会いたければ???
どこに向かえばいいのかわかりません。
患者さんは食事の不安を薬剤師に相談をするって流れですね。
「痩せたい」
その言葉を聞いて3大栄養素のどれがいいかというとタンパク質ですね。
解説します。
3大栄養素は、糖質、脂質、タンパク質
私達が食べている食事はすべて3種類に分けることができます。
それぞれが体にとって必要な栄養であり、エネルギーとなります。
炭水化物(糖質)
脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される栄養素です。
体内の消化酵素で消化できる「糖質」
消化しにくい「食物繊維」
に分けられます。
コメ、めん類、イモ、果物、菓子類、砂糖などに多く含まれます。
とり過ぎると、そのぶんは脂肪として必要以上に体に蓄積されます。
炭水化物1gにつき、4kcalとなります。
パッケージとかで計算されているのはこのkcalです。
1日摂取量については
1日の摂取目標量:30歳〜49歳 身体活動レベルふつう
男性女性ともに1日のエネルギー量の50~60%
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
仕事で体を動かす仕事ではない限り、ふつうレベルの方が多いでしょう。
活動量の少ない成人女性の場合は、1400~2000kcal
男性は2200±200kcal程度が目安です。
例として、女性ふつうレベルの運動量 2000kcal必要と考えます。
60%を炭水化物として必要摂取する必要があると考えますと、1200kcalです。
1g=4kcalのため、炭水化物は300g必要となります。
白米の100gにつき、77gなので、4杯で298gです。
そうやって考えると普通に3食白米とると他の糖質の摂取が難しいですね。
脂質
脂質を摂取すると脂肪酸に分解され、主にエネルギー源として使われます。
油、バター、ラードなど、まさに“あぶら”に多く含まれています。
脂質については動物性と植物性に分かれます。
脂質1gにつき、9kcalになります。
結構kcalが高いです。
三大栄養素の中でも一番高いです。
だからこそ、少しだけだから大丈夫と思って食べるとすぐに脂肪となります。
1日の摂取目標量:30歳〜49歳 身体活動レベルふつう
男性女性ともに1日のエネルギー量の20~30%
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
動物性脂質は生活習慣病へ繋がりやすく、依存しやすいです。
できるだけ植物性の油を多めにしましょう。
例として、女性ふつうレベルの運動量 2000kcal必要と考えます。
20%を脂質として必要摂取する必要があると考えますと、400kcalです。
1g=9kcalのため、脂質は44g必要となります。
豚肉の100gにつき、35gなので、豚肉125gで脂質44gです。
豚肉の量はかなり少ないですね。
ご飯の楽しみがないです。
たんぱく質
主に筋肉や臓器、血液をつくる材料になります。
体を構成するものとして、髪の毛、肌、爪もたんぱく質からなります。
肉、魚、大豆、大豆製品、卵などに含まれています。
たんぱく質の中でも8種類の「必須アミノ酸」は体内ではつくれません。それを食事で補っているわけです。
しっかりと取る必要があります。
たんぱく質は身体だけでなく、ホルモンを生成することにも関与しているため、精神面でも必要な栄養です。
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。最も関連が深いと考えられるのは、腎機能への影響である。健康な者を対象としてたんぱく質摂取量を変えて腎機能への影響を検討した比較試験のメタ・アナリシスでは、35% エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうと結論している 50)。
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
「たんぱく質の過剰摂取によって腎機能が低下し、腎不全となる」については、否定的です。
35%以上は摂取をしないようにすれば心配なさそうですね。
例として、女性ふつうレベルの運動量 2000kcal必要と考えます。
たんぱく質の35%以上は過剰となります。
過剰となるエネルギー量は700kcalです。
たんぱく質1gにつき、4kcalです。
計算すれば、たんぱく質は175gです。
鶏むね肉の皮なしが24.4gです。(参考:日本食品標準成分表より)
よって、約720g以上を毎日食べることとなります。
画像としてはこのような感じです。2切れ分を毎日食べると過剰になります。
運動レベルを高めれば、たくさん食べることはできます。
1日の摂取目標量は
1歳以上の全年齢区分において 20% エネルギー
引用:日本人の食事摂取基準(2020年版)
例として、女性ふつうレベルの運動量 2000kcal必要と考えます。
20%をたんぱく質として必要摂取する必要があると考えますと、400kcalです。
1g=4kcalのため、たんぱく質は100g必要となります。
先程の鶏むね肉の皮なしで計算すると約410gです。
1日410g必要となると結構量があります。
後、たんぱく質を摂取するときに考えるべきことは、アミノ酸スコアです。
タンパク質の栄養価を示す指標を「アミノ酸スコア」と呼びます。
タンパク質を構成するアミノ酸は、
- 必須アミノ酸
- 非必須アミノ酸
の2つに分かれています。
そして、体内で生成することのできない9種類の必須アミノ酸はそれぞれ必要量が提唱されています。
食品に含まれている必須アミノ酸がどれくらい満たされているかでアミノ酸スコアは算出されます。100に近い数値であるほど理想的です。
アミノ酸スコアは特に桶で例えられます。
必須アミノ酸のうち、一番摂取率が低いところに合わせてたんぱく質は利用されます。
画像はイメージ図です。
桶のように囲っているが、一部分が取れていなければ、最低部分に合わせて利用されます。
アミノ酸スコアも考えながらたんぱく質は摂取しなければなりません。
アミノ酸スコアで肉は基本100まであるため、大丈夫です。
パンは44点、白米は65点なので、他の食材と比べて少ないです。
肉以外を摂取するときは注意が必要です。
それぞれは目標摂取量です。
それ以上の方は太り、それ以下の方は痩せます。
kcalは基本的な考え方なので体重管理には必要です。
高齢者はたんぱく質の不足が注意されている
ダイエットでも健康を失うような食生活をすることはだめです。
元気に毎日を過ごすことができることは必須です。
何でもエネルギーを減らせば痩せるって考えより、健康的に食事をして痩せることを目指しましょう。
健康的と考えるとフレイルを考えないといけません。
筋肉をへらすと代謝が悪くなり、痩せにくい体ができます。
痩せやすく痩せた状態をキープすること。
それが引き締まった体といいます。
そのためにはどうしたらいいかを考えないといけません。
そのときに高齢者のたんぱく質不足を踏まえて考えるといいです。
たんぱく質の摂取不足が最も直接的に、そして、量的に強い影響を及ぼし得ると考えられる疾患は高齢者におけるフレイル(frailty)及びサルコペニア(sarcopenia)である
引用:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
現代の高齢者(65歳以上)は十分なたんぱく質が摂取できていないことから、フレイル(栄養不足)によってサルコペニア(筋肉減少症)を招いています。
日本人の食事摂取基準(2020年版)の変更点としては、高齢者のフレイル予防を重要視しています。
総エネルギー量に占めるべきタンパク質由来エネルギー量の割合について、65歳以上の目標量の下限を13%エネルギーから15%エネルギーに引き上げました。
今までの最低摂取量では、サルコペニアを防ぐことが難しかったと考えられます。
この考え方から摂取する量を増やす必要があります。
例えば、高齢者女性およそ 2.4 万 人を 3 年間追跡してたんぱく質摂取量とフレイルの発症率との関連を検討したアメリカのコホート研究では、たんぱく質摂取量を 20% 増やすとフレイルの発症率を 30% 下げると予想できると している 54)。
引用:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
通常の成人量と同じようにたんぱく質摂取目標値を総エネルギー(kcal)を20%にすることを想定しています。
フレイル及びサルコペニアの発症予防を目的とした場合、高齢者(65 歳以上)では少なくとも 1.0 g/kg 体重/日以上のたんぱく質を摂取することが望ましいと考えられる。
引用:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
高齢者と同じようにまずは1.0 g/kg 体重/日以上を目指しましょう。
体重×1gで必要たんぱく質を求めることができます。
引き締まった体、痩せた体、痩せやすい体
それは筋肉が十分についた体でもあります。
そのためにはサルコペニアにならないように最低限たんぱく質を摂りましょう。
痩せるために食事誘発性熱産生を考える
エネルギー消費量は、基礎代謝、食後の熱産生、身体活動の三つに分類されます。
考えることは食後の熱産生である食事誘発性熱産生(DIT)です。
食事をすれば食事した内容物を溶かすためにカロリーを使います。
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。
このため食事をした後は、安静にしていても代謝量が増えます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なります。
それぞれの栄養素を摂取したエネルギーは
- たんぱく質・・・約30%
- 糖質・・・約6%
- 脂質・・・約4%
食事誘発性熱産生が低下するのは、加齢と運動不足で筋肉が減ることです。
逆に食事誘発性熱産生を高めるためには、筋肉を増やすことです。
このように食事誘発性熱産生を考えると
たんぱく質を摂取することで、たんぱく質のkcalは他の栄養素に比べてより多く消費されます。
例として、女性ふつうレベルの運動量 2000kcal必要と考えます。
- 糖質・・・60%摂取のため、1200kcal(300g)です。
- 脂質・・・20%摂取のため、400kcal(44g)です。
- たんぱく質・・・20%摂取のため、400kcal(100g)です。
上記が摂取カロリーの内訳です。
そのカロリーのうち食事誘発性熱産生による消費カロリーは
- 糖質・・・6%のため、1200kcal中 72kcalが消費されます。
- 脂質・・・4%のため、400kcal中 16kcalが消費されます。
- たんぱく質・・・30%のため、400kcal中 120kcalが消費されます。
そのため、2000kcalのうち、208kcalが食事誘発性熱産生によって消費されています。
3大栄養素を標準通りに食事すると約10%が食事の消化するカロリーです。
さて、ここで食事の割合を変えてみましょう。
- 糖質・・・55%摂取のため、1100kcal(275g)です。
- 脂質・・10%摂取のため、200kcal(22g)です。
- たんぱく質・・・35%摂取のため、700kcal(175g)です。
そうすると食事誘発性熱産生は
- 糖質・・・6%のため、1100kcal中 66kcalが消費されます。
- 脂質・・・4%のため、200kcal中 8kcalが消費されます。
- たんぱく質・・・30%のため、700kcal中 210kcalが消費されます。
そのため、2000kcalのうち、284kcalが食事誘発性熱産生によって消費されています。
先ほどと違い、同じ摂取カロリーに対して、消費エネルギーが増加していることがわかります。
つまり、食事割合でたんぱく質摂取を増やす事によって消費エネルギーを増加することが可能です。
食べることで痩せる食材でたんぱく質をおすすめされているは、消費エネルギーの割合が多いからですね。
難しいことは考えず、たんぱく質の摂取率を変えるだけで、痩せやすい食事となります。
食事を工夫するだけでも健康的に痩せることができる。絶食は避けよう!
食事のみに着目しました。
3大栄養素とは糖質、脂質、たんぱく質に分かれます。
たんぱく質の摂取量を増やしてほかを減らすだけで、消費するエネルギーは上がります。
ときたま、ダイエットですっていうと極端に食事をしない人がいます。
それは将来を考えると体にとってマイナスです。
たんぱく質を食事のみで行うことは難しいと考えられます。
鳥の胸肉にしても、脂質がついてくるため、カロリーオーバーになりやすいです。
そんな状態を放置すると太ってしまいます。
そんなときこそ、プロテインで補充することがkcal摂取の面でもダイエットの面でも重要です。
まずは1kgからでも始めてみましょう。
骨密度を含めて老後も健康的に過ごすためには、たんぱく質は減らさないようにしましょう。
以上!おわり!